コース長よりご挨拶 / 地球環境科学分野 林田佐智子 教授

地球環境科学分野 林田佐智子 教授環境科学コースは、平成26年度に新設された新しいコースです。現代という時代を生き抜く智恵をもった人材を育成するために設置されました。

環境科学とは何かという問いに一口には答えられませんが、今の時代を生き抜くためには不可欠な素養です。例えば、地球は温暖化していることがすでに科学的にほぼ確実であるとされており、私達はこれから二酸化炭素をできるだけ出さない低炭素型社会構築を目指さなければなりません。しかし、地球温暖化の原理を理解することは研究者にとってですら難解で、未だに誤解に基づく地球温暖化懐疑論がたえません。また、低炭素社会の構築といっても、実現するのはどうしたらよいのでしょう。例えばエネルギー問題と地球温暖化問題の関係はどうなっているのでしょうか?

今の時代、私達はなんでもほしいものがほしいだけ手に入る便利な生活を享受し、いつの間にかこの地球の資源を食い尽くそうとしています。絶滅のおそれのある種 は2010年公表のレッドリストによれば18,000種以上にもなるとされています。私が子供のころは牛肉を食べられるのはお祝い事の時だけで、鯨の肉が日常の食卓にのぼりました。今では鯨もウナギもマグロも食べることを制約されています。どうして好きなだけ好きなものを食べてはいけないのでしょうか?

環境コースでは、こんな問いかけを自分自身で問いかけながら勉強してほしいと思います。
環境問題とされている様々な問題には、多面性があります。一つの答えは決まらないのです。あちら立てればこちら立たず。これが環境問題です。様々な問題を多角的に見て、自分自身で考えて自分なりの答えを導き出す。いくら知識を得ても時代と共にそれは古びてゆきます。しかし、自分の力で得た智恵は古びることはありません。環境科学コースがそんな智恵を得る学びの場であってほしいと願っています。