生物環境学分野

生物と環境との相互作用の研究

生物は、分子・細胞・個体・集団といったさまざまなレベルで環境から影響を受け、また環境に影響を及ぼしています。このような生物と環境との相互作用を、分子生物学や生理学、生態学といった既存の学問を融合させて研究し、その成果を教育に活かします。また、地球温暖化や環境負荷の低減、生物多様性の保全といった環境問題に対して生物学的な視点から取り組み、研究・教育を行います。

研究分野・教員紹介

佐伯 和彦 教授
微生物ゲノミクス

細菌ゲノムの多様性と進化

佐伯 和彦 教授

生物の進化では、祖先由来の遺伝子が変化する場合と他の生物から遺伝子を獲得(水平伝搬)する場合があります。分子生物学や生化学を土台とするゲノム生物学的な手法により、細菌の共生や環境適応において遺伝子の水平伝搬が果たす役割と機構について理解することを目指します。

研究者総覧
細菌ゲノムの多様性と進化
保 智己 教授
環境生物学

動物の光環境への適応に関する研究

保 智己 教授

光環境は場所や時刻で多様に変化します。例えば、1日の内でも明るさだけでなく、朝夕と昼では空の色(太陽光スペクトル)が違ってきます。また、海に潜ると青い世界に変わっていき、最後には暗黒の世界になります。このような変化に動物はどのように対応しているのかを調べています。

研究者総覧
動物の光環境への適応に関する研究
遊佐 陽一 教授
応用生態学

淡水・海洋生物の生態・保全・防除に関する研究

遊佐 陽一 教授

河川や海洋では,陸域よりも生物の保全が遅れています。そのような水域における稀少種の生態や,生物相を豊かにするための方策,生物相を利用した外来種のコントロールなどについて研究します。

研究者総覧
研究室HP
こんな事が学べます!:豊かな生物相が外来種の侵入を防ぐ
生物の少ない溜め池の壁面に大量に産み付けられた外来種スクミリンゴガイの卵塊
生物の少ない溜め池の壁面に大量に産み付けられた外来種スクミリンゴガイの卵塊
酒井 敦 教授
環境生物学

他感作用の研究

酒井 敦 教授

植物から放出される化学物質による他植物への影響(他感作用)について、原因となる化学物質の合成・放出から環境中での挙動、標的植物への侵入、作用機構など様々な面から解析を進めます。生理学、生化学、シミュレーションなど様々な手法を使って、他感作用を幅広い視点から他感作用現象の理解を目指します。

研究者総覧
他感作用における共存と排除
井田 崇 准教授
生態学

植物の繁殖生態に関する研究

井田 崇 准教授

固着性である植物は、交配(花粉のやりとり)を送粉者動物に依存しています。送粉者との生物間相互作用に結果、植物は花の色や形や香りなど、様々な花形質を持っています。こうした花形質の進化を紐解くとともに、近年、重大な問題である地球温暖化が、植物や生物間相互作用に与える影響について研究します。

研究者総覧
植物の繁殖生態に関する研究
片野 泉 准教授
生態学

陸水生態系における生物多様性維持機構に関する研究

片野 泉 准教授

陸水生態系は人為的改変が大きく,他の生態系と比べ急速に生物多様性が失われています。私は,特にダム河川やため池などの陸水域における食物網構造に着目し,生物多様性がどう維持されているのか,また,環境修復策の効果の検証を通して効果的な生物多様性の保全策を考えています。

研究者総覧
陸水生態系における生物多様性維持機構に関する研究
佐藤 宏明 准教授
生態学

生物群集の多種共存機構の解明

佐藤 宏明 准教授

生物群集は生物学的相互作用で結ばれた種の集まりであり,類似した生態を示す種が複数共存しています。潜葉性蛾類に寄生するハチの群集をおもな対象として,その共存の機構を研究しています。

研究者総覧
潜葉性蛾類の一種と,その幼虫に寄生するハチの一種
潜葉性蛾類の一種と,その幼虫に寄生するハチの一種
奈良 久美 准教授
環境生物学

植物の環境に応答した生長制御に関する研究

奈良 久美 准教授

生物は、24時間周期で変動する光や温度の環境に合わせて、さまざまな活動を制御する概日時計を持っています。私たちの研究室では、生きた植物体内でおきている、概日時計や刻々と変わる環境によって制御された様々な反応を、最新のNMRイメージング(MRI)技術や古典的な植物生理学的手法までを駆使して、捕えようと挑戦しています。

研究者総覧
環境や概日時計による植物の生長制御
(図の説明)環境や概日時計による植物の生長制御