地球環境科学分野

生物と環境との相互作用の研究

人工衛星で観測される地球環境に関わる様々な要素を分析し、現在の地球環境変動の状況を的確に把握します。これら諸変動の相互関係を分析し、変動を引き起こす過程を解明します。リモートセンシング手法の開発から地球環境変動のシミュレーションまで、幅広い研究を行っています。

研究分野・教員紹介

林田 佐智子 教授
大気科学

大気微量成分から観る地球環境変動

林田 佐智子 教授

地球の大気中には窒素や酸素以外に多くの化学成分が含まれていますが、非常に微量なので「大気微量成分」と呼ばれます。その中でも地球環境問題に深く関わっているのが二酸化炭素やオゾン、メタンなどです。オゾン層破壊によって有害紫外線が地上に降り注ぐことも、二酸化炭素の増加が地球温暖化をもたらすことも、人間活動から排出される様々な物質が地球大気の組成を変質させ、地球環境を変化させている問題です。
私の研究室では人工衛星から観測された大気微量成分のデータを解析することで、地球大気で何が起こっているかを調べています。  
図はNASAの衛星でとらえられた地上から高度約3キロまでの大気下層のオゾン分布を示しています。大気汚染で発生するオゾン濃度が中国上空で非常に高いことを示しています。その他にも日本の打ち上げた衛星「いぶき」でとらえられたメタン濃度分布などの解析にも取り組んでいます。環境省や文部科学省の委託プロジェクトではインドでの現地調査も行っています。(写真)

奈良女Today第22号「教養広場」をご覧ください。

<参考URL>
http://www.ics.nara-wu.ac.jp/lab/ertdf/
http://www.ics.nara-wu.ac.jp/lab/ozonegroup/index.html

研究者総覧
研究室HP
NASAの衛星センサーOMIでとらえられた地上付近のオゾン分布
NASAの衛星センサーOMIでとらえられた地上付近のオゾン分布
2014年9月デリー大学を訪問時の写真
2014年9月デリー大学を訪問時の写真(左から5番目)
村松 加奈子 准教授
リモートセンシング

人工衛星データの画像解析による、陸域環境変動の研究

村松 加奈子 教授

陸面の土地被覆変動や植生の炭素・熱環境の緩和能力の把握のために,衛星データを用いて研究を行っています。衛星データの解析手法の開発や推定結果の検証のために、地上での実測や実験を行い、解析結果の精度向上をめざしています。

研究者総覧
研究室HP
ADEOS-II/GLI v210.データの解析による2003年の純一次生産量
ADEOS-II/GLI v210.データの解析による2003年の純一次生産量
観測櫓での光合成測定・アマゾンの熱帯林にて
(左)観測櫓での光合成測定
(右)アマゾンの熱帯林にて
久慈 誠 准教授
大気科学

気象観測データから探る大気環境

久慈 誠 准教授

視程を中心とした気象観測データの解析を行っています。 ここで、視程とは地表面付近の大気の混濁具合を見通しの距離で表したものです。通常、視程は雨や霧によって悪化し、交通機関に影響を与えます。また天気が良い場合でも、大気汚染に伴うエアロゾル等によっても悪化し、健康被害をもたらすことが懸念されています。そこで視程観測と地上観測器から得られるエアロゾルの情報を組み合わせて、特に人間生活に影響の大きい下層大気の環境について研究を進めています。

研究者総覧
研究室HP
気象観測データから探る大気環境
図 奈良女子大学G棟から観た生駒山。
(左)2012年4月27日14:30JSTの撮影。視程45kmの快晴日。
(右)2012年4月25日14:30JSTの撮影。視程9kmの黄砂日。
尚、視程が10km未満の場合は視程障碍(しょうがい)と呼ばれます。
地球および惑星大気科学

地球及び惑星大気に関する研究

野口 克行 助教

太陽系内には様々な惑星があり、そのうちのいくつかは大気を持っている。近年の観測や探査により、それぞれの惑星大気は地球大気とは異なった興味深い様相を持つことが明らかになってきた。地球大気において確立された諸法則を駆使し、個々の惑星大気に特有な現象の理解を試みることで、より一般的・統一的な惑星大気の理解につながる。ひいては、地球大気そのものの理解をより深くし、地球大気における環境問題の解決にも寄与できるであろう。我々は特に火星に着目し、米国等の最新の探査機データをベースにして数値シミュレーション結果も組み合わせながら火星大気の諸現象の理解を試みている。

研究者総覧
研究室HP
地球及び惑星大気に関する研究

(左)火星探査機MRO搭載のMCSセンサによって観測された東西平均ダスト量の緯度分布の例。通常は低高度に現れるべきダストの極大が、赤道域高高度に現れている。
(右)火星探査機MGSによる電波掩蔽観測で得られた極夜における気温高度プロファイルの経度分布の例。赤い×印は、低温により大気主成分である二酸化炭素が凍っている可能性があることを示す。大気が凍ることで、大気量の減少や局地的な熱収支に大きな影響を与える。